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AJOCC選手権

RACE

2012.12.11

いろいろ思うところがあって、何から書いていいか分からないが、
とにかく、今年はこのレースを目標にしてきた。

昨年夏、マスターズ世界チャンピオンであった荻島さんのサマースクールに出席した際、「その年に自分がこのレースにかけたい、と思う一番大事なレースに向けて、1年間のトレーニングスケジュールを立てる」といった内容の話を伺った。

去年の私は、シクロクロス1年生。とくに「このレース」といったものもなく、それ以前の体力づくりや自転車に乗ること自体をもっと上達させなければいけないような状態。そんな私には、ちょっと遠い先の話をされているように思って聞いていた。

ところが去年のシーズン途中に、信州でのレースを終えたあと主催の方から、不意にこんなことを言われた。

「来年もしL2の選手権を全日本の日にやったら、出る?」

「はい、出ます!」

スポーツって何でもそうだと思うが、何かを目標にしていくものだろう。
サッカーなら天皇杯とか、プロ野球なら日本シリーズとか、学生の部活動ならインターハイとか、何かてっぺん的なものを。そのてっぺん的なものがあらわれたのだった。

始めたばかりで何を言うか、という感じだが、
やるからにはてっぺん的な何かを目指したいじゃないか。

そこで、12月9日までに自分がやるべきこと、練習したいことを自分なりに進めることにした。時には仕事の都合や、夏のラッキーエタップなどで、思うようにトレーニングを進められないこともあったが、一番こたえたのは、体調だった。

5月頃手首を痛め、治ってきたと思った10月頃また痛めて、
11月に入ると乾燥で鼻と喉を痛めて・・・

なんでうまく行かないのだろう、と少し悲観したこともあったが、
みんな何かしらうまく行ってないだろ、と開き直って、
痛いところをさけた筋トレや室内のローラーで自分を納得させた。

前週に行われたミストラルは、選手権をにらんでのコース設定。
ここは出ておいて調子を合わせたいと思っていたが、体調が優れずスキップ。
意外に、ちゃんと休んだほうがいいってこともあるよ、と言い聞かせる。

そして、いよいよ週末を迎えた。

* * *

ふもとっぱらは家から2時間半ほどで行ける、割りと近い会場。
土曜日もゆっくりめに、昼過ぎ頃の到着を目指して出発した。

到着して車を降りるととても寒い。
モーリちゃんがすぐにバイクを降ろしてくれた。
空気を入れる。とりあえず1.5気圧でお願いする。
そして車の中でシミュレーションした通り、サドルを4〜5mm上げた。

試走してみると、本当に目の前に見えているところで全てだった。
降車するところは2連シケイン1箇所しかない。
全体的に傾斜のついた牧草地帯を、行ったり来たりでアップダウンしながらずっとペダルを回し続けるといったコース設定。コーナリングがうまくて1コーナーにつき1秒でも縮められるようだったら、それだけでアドバンテージだ。

雪もちらつく中試走を何周かして、気になるコーナーの入り方・出方をおさらいし、その後、牧草地で8の字練習およびスタートのダッシュ練習。

L2はおそらく3〜4周になるだろう。
そんなにペースを落とさず行けるのではないか。
ということはスタートでほぼ順位が決まるだろう。
これで、前日の試走を終えた。


* * *


前日は寝たのか寝てないのか分からないが、目覚ましがなる前にパッと目が覚めた。泊まったロッジの部屋の薪ストーブは、火が消えていてとても寒い。部屋が温まるのを待ってから着替えて、予定より少し遅れ気味に会場へ向かう。

到着して間もなく受付の時間が来たので、先に出走サインをし、ゼッケンをもらい、静岡車連の臨時登録料を支払った。モーリちゃんにゼッケンを付けるのをお願いして、試走へ。

やはり朝は凍っている。土がボコボコした形のまま、タイヤで踏んでも崩れない。出走は約1時間後の第1レース。出走人数も少ないので、どんどん柔らかくなったり、土が掘れたりすることもなさそうだ。昨日と同じ、1.5気圧くらいでいい。

試走を3周ほどして体を温めて、汗を拭いてインナーから全て着替える。
試走後に指先は完全に感覚を失っていたが、着替えているうちに血の気が戻った。
ランジをしたり、軽く走ったりしながら、筋肉の温度を下げないようにする。
初めて、寒さ対策用のクリームもつけた。

招集時間に合わせてスタート地点へ行き、タイヤのチェックを受ける。
前回の野辺山に合わせてすわっちに組んでもらった、33mmのチューブラーをつけたAMBROSIO。まだ、完全に感覚には慣れてないのだが、クリンチャーと比べてグリップがとても良くなったし、以前と比べて重くなったホイルが意外にも良く転がり進んでくれる。

スタートはU17が出走した1分後。みんながなごやかに待っていると、スタート寸前になって、レッグウォーマー、タイツは脱ぐように、との声が。全く気にしていなかったが、厳密にはひざ上レーパンのみということらしく、その場でウォーマーを外した。ある選手はロングのレーパンを着ていたため、車まで戻って着替えるはめに・・・

気を取り直し(というか、実は寒さ対策クリームを塗っていたせいか、レッグウォーマーを外してもあまり寒くなかったので、何も気にならなかったのだが)、スタートを待つ。

U17がスタートした。そしてカウントダウン。

パーン。

とにかくスタートダッシュ!
ピストルがなる前から右足は踏むぞ踏むぞとピクピクしていた。
絶対的にスタートが早いけいこさんの後ろについて、とにかくこのペースを守らなければと思う。それと同時に、ひとつひとつのターンがオーバーにならないように、ロスしないように、コースの先を見ながら丁寧に走らねばと思う。

肩越しに後ろの存在を感じながら半周ほど行くと、どこかで離れたらしく、後ろの気配がなくなった。前には2人、見えている。差はあまりない。

2週目に入るとけいこさんが近づいてきた。
ここで踏ん張ったらもっと近づけるかも知れないと、少し直線が長い所で踏んでみるが、若干登り基調の牧草地は、軽くしたはずのギアをどんどん重くする。
そして、また連続コーナーの箇所になり、距離を縮めにくくなる。

そんなことを繰り返しつつ、最後までタレることなく走り抜かなければという気持ちと、後ろから追いつかれたくないという気持ちが湧き上がる。
後から思えば、自然と足がセーブする方向へ向かってしまった。

会場に響き渡るガラパさんの声が聞こえる。
「このまま逃げ切れるのか、後ろとの差はX秒、コントロールラインを今通過!」

3周目、最終周回に入った。
前を行くけいこさんとの距離が開いてきた。ということは後ろとの距離が縮まっているということかも知れない。まずい。ラストなのだ、出せる力は出しきらねば。気持ちは焦る!

しかし、焦って最終周回にヤブに突っ込んで抜かれたミストラル、オーバーランして大回りになっている間に抜かれた野辺山、コーステープの杭に前輪を引っ掛けて転んで抜かれた飯山などの記憶がよみがえってきた。

そうだ、こんなときこそ丁寧に走らなければ。
こうなったら最低限ポディウムから降りるわけには行かない。

いろいろ考えているうちに、ゴールが視界に入ってきた。前との差を少しでも縮めよう、後ろとの差を少しでも開けようと、最後まで走り切る。


* * *


今年はいろんな人に影響を受けている。

安曇野で目の当たりにしたけいこさんのスタート。
やっぱりスタートで前にいないと、最初についた差はなかなか縮められるものではないと思った。この後のレースは、とにかくスタートを速く走ることを心がけた。

こーへーの積極的な攻めの姿勢。
後のことはおいといて、とりあえず最初から飛ばす!
ちょっと忘れていたような気がして、ぐっときた。
今の1秒を持ってる力出しきって走ることの大切さというか、アグレッシブさというか。
もっと前のめりで走りたいと思わされた。

さきちゃんの純粋な貪欲さ。
男子のレースを見てはコースどりを研究したり、自分がレースを終えてもおさらいしたり。今一番、この人のように走りたいと思っている選手がさきちゃんである。

三船さんのコーナーのコース取り。
マイアミでレッスンを受けて、コース取りに対する考え方を教わった。選手権のコースでも、三船さんだったらどういう風に曲がるかな?と考えてみたり、今まで適当に曲がっていたところも考えるようになった。


他にもたくさん、いろんな人からいろんな事を感じ取る機会があった。
自分に足りないもの、もっと伸ばさないといけないところ、フィジカル、メンタル、いろんな事を考えさせられた。

限られた時間の中で、トレーニングの時間を作って練習するしかないのは、ほとんどの人が同じだと思う。他の人にできて、自分にできないわけがない。もっともっと強くなるべく、また来年へ向けてのスタートを切ります。


[Result] 3th.
[Next] KNS#6 KURONDO-LAKE (NARA)

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